あいうえおかき。桃の節句や端午の節句などの行事は、旧暦で行われます。ひな祭りの数日前によもぎを摘んで餅をつき、赤・白・緑のひし餅を作り、咲きはじめた桃の花と一緒にひな段はもちろん、神棚にもお供えし、子供の健やかな成長を祈ります。その頃には桜の花が「次は私よ」と言わんばかりに咲き出し、満開を迎えると、春は爛漫。私の大好きな椿も、赤・白・ピンク・絞りと様々に咲き、吹く風にも花の香りがいっぱいです。桜がすっかり終わると、ぼたんやあやめが咲き出し、季節は少しずつ初夏へと移ります。着物の色・柄は、この様な季節の移ろいをとても大切にし、表現されています。洋服では味わえない色合わせや柄行きをお楽しみください。

写真上 可愛いおひな様柄の半幅帯
写真中 枝垂れ桜が描かれた訪問着
写真下 川面に桜の花びら、カワセミ、満開のぼたん柄の袋帯

二〇〇九年 春

紫陽花を濡らした雨も上がり、蝉の声が賑やかになれば夏。大阪の夏祭りは天王寺にある愛染堂の愛染祭りで始まります。別名「浴衣祭り」と呼ばれ、この祭りから浴衣を着出します。境内には朝顔に似た橙色のノウゼンカズラが咲き、祭りのシンボルになっています。 このノウゼンカズラは椿庵にも咲いており、近所の方々に楽しんで頂いております。愛染祭り、祇園祭、天神祭。夏は真っ盛り。そして祭りに欠かせないのが浴衣です。髪を上げ、襟足を見せ、素足に下駄できりっと着こなしたいですね。盆踊りの頃になると、朝夕の吹く風に涼しさが漂いはじめます。
 
秋きぬと 目にはさやかに 見えねども
風の音にぞ おどろかれぬる       藤原敏行

写真上 紫陽花柄の名古屋帯
写真中 ノウゼンカズラの花(椿庵にて)
写真下 トンボ柄の浴衣

二〇〇九年 夏

朝に秋の冷気が感じられる頃になると、聴きたくなる曲があります。秋の想い出を綴った「Try To Remember」アコースティックギターのメロディーが流れてくると、懐かしい情景が浮かんできます。真っ赤な花火の様に咲いていた彼岸花。舟の上で眺めた仲秋の名月。校庭に甘い香りと一緒に散っていた金と銀の木犀の星の花達。次々にまるでアルバムをめくる様に想い出されます。セピア色の想い出は彩りの想い出でもあります。木の葉が色づき始めたら、秋を探しに行きましょう。奈良、京都、いえ、大阪にも秋はあります。身近な所で探すのも良いですね。そして今年は是非、着物で出掛けてみませんか?気取らず楽に、小紋や紬に半幅帯で構いません。きっと、いつもと違う秋に出会えます。

写真上 彼岸花柄の浴衣
写真中 白菊が織られた名古屋帯
写真下 紅葉、菊、萩の花丸文様

二〇〇九年 秋

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