私が生まれ育った山陰地方では、桃の節句や端午の節句などの行事は、旧暦で行われます。ひな祭りの数日前によもぎを摘んで餅をつき、赤・白・緑のひし餅を作り、咲きはじめた桃の花と一緒にひな段はもちろん、神棚にもお供えし、子供の健やかな成長を祈ります。その頃には桜の花が「次は私よ」と言わんばかりに咲き出し、満開を迎えると、春は爛漫。私の大好きな椿も、赤・白・ピンク・絞りと様々に咲き、吹く風にも花の香りがいっぱいです。桜がすっかり終わると、ぼたんやあやめが咲き出し、季節は少しずつ初夏へと移ります。着物の色・柄は、この様な季節の移ろいをとても大切にし、表現されています。洋服では味わえない色合わせや柄行きをお楽しみください。

写真上 可愛いおひな様柄の半幅帯
写真中 枝垂れ桜が描かれた訪問着
写真下 川面に桜の花びら、カワセミ、満開のぼたん柄の袋帯

二〇〇九年 春

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